tapanta

考えたこと、詩、などを書く。

風は視線のように静まっていて

  風は視線のように
  静まっていて

  視線は処女のように
  不安を降ろそうとする

  街は心のように
  清く単純で

  空は素肌のように
  地平を眺めている

    公園の花壇のような
    赤いカローラ

    まるで若い家政婦のように
    交差点で立ち往生している

  風は視線のように
  静まっていて

  視線はウミガラスのように
  銅像の頭に止まっている

  人は電波のように
  喫茶店の空席を占拠している

  世界がつんぼだから
  いつまでたっても人は騒がしい

    ルドンのポリュペーモスのような
    高い時計台が

    まるで酷い雨の日のように
    手足を太いロープで縛られている

  風は視線のように
  静まっていて

  視線は窓枠のように
  匂いを落とそうとする

  影は光のように
  喫茶店の空席を目立たせる

  僕がコーヒーを飲み終えると
  彼女がゆで卵を食べ終える

    僕らは僕らの神様を

    出迎えにあがっている

    神様はまるでアフリカ人のように

    両耳を大きなピアスで飾ってる

  まるで何もかも無関係のような
  関係の内側で

  風は視線のように
  静まっていて