tapanta

考えたこと、詩、などを書く。

2023-01-01から1年間の記事一覧

影としての存在

洞窟の比喩。イデア論には本物があるという強い信仰があるが、というよりも、似姿ばかりあるということのほうが本当だ。似姿を真実だと思いこむことが幻想であることは事実だが、それ以上に、本体を信じることのほうがより幻想的である。認知とは、似姿を似…

死と生について思うこと

昔から30くらいが死に目かなと思っていたが、その年齢を来年に控えて、自分の予感は正しかったのかもしれないと思うようになってきた。紆余曲折経て自分の死生観が固まってきたので、ここに書いておこうと思う。 論理的に考えて行くと、生というのは全然割に…

私の神様

今朝ある言葉がふいに降りてきて、それをメモ帳に書き留めた。今年に入ってから、自分を実務へ専念させようと決意して、詩を書くのをやめていたが、今朝書き留めたつぎの言葉はまごうことなく詩だった。 神様がいないことを これほど欠損と感じているのだか…

マゾヒズムの論理

性的領域は能力主義の先端だということを以前の記事「欲望はどれほど人間にとって本質的か」の中で副次的に書いた。だが性的領域の本質が「能力をめぐる闘争」であるとはどういうことだろう、簡潔かつ具体的に書いておく。 まず性的領野における「能力」は一…

他者の他者は存在しない

「Q.他者は存在するのですか?A.他者の存在は証明できないのでなんとも言えないです。」みたいな(馬鹿げた)やり取りを見かけた。そう考えると、精神分析家のジャック・ラカンが、「他者は存在しない」というかわりに、「他者の他者は存在しない」と言った…

大人の孤独

大人になってからゲームができなくなった、と言う人がいる。 ゲームは時間の無駄だと気付いてやらなくなったという人も結構いる。 実際は、ゲームと言うのは孤独な作業であって、 その孤独に耐えられなくなったからやらなくなったのだと思う。 子供のころは…

瞑想の方法

今、瞑想というとアメリカ発祥の「マインドフルネス瞑想」が一時的流行りの域を超えて、主流になっているようである。発祥については諸説、というより諸派あり、さらに問題なことに、具体的な方法論についても人それぞれで要領を得ない。もはや、ただ「瞑想…

欲望はどれほど人間にとって本質的か

精神分析学は多く説明しているのに、どこまでも本質的な「腑に落ちなさ」を残している。光に向かって落ち続ける蛾のように、裸電球の周りを思想がぐるぐる回り続ける、奇妙な循環論法がその場で彼を捉えるのはなぜか。 * もし純粋に経済的な思考を考えられ…

想像と現実

日常生活は未決定によって彩られている。未来のことは、想像に頼るしかない。想像の可能性は「不安と期待」を同時に担っている。現実は、それが多かれ少なかれ、味気ないものであるという形で、想像を決定する。実際に手に入れるものが、いつでも想像を超え…

MBTIの16タイプ (MBTIを考える-3)

(本記事を読む前にMBTIの四基軸 (MBTIを考える - 2)を読むことを推奨します。) さて、今回はMBTIへの理解を深めるために、16タイプを簡易的に分析してみよう。ところであえて最初に述べておくが、あくまで人間はすべての型の間をあいまいに彷徨っている…

MBTIの四基軸 (MBTIを考える - 2)

今回はMBTIが人の傾向を判断する、四つの基軸を見ていこう。MBTIに興味を持った人はまず、インターネット上のテストなどを試すだろうが、いわゆるMBTIテストは自分がこう思われたいという無意識的判断が出やすく信頼に値しない。実際多くの人が誤ったMBTIタ…

MBTIとはなにか (MBTIを考える - 1)

1.前提 - タイプ論 MBTIのもととなったユングのタイプ論では、ものごとを認識したり判断するときに、人によって異なる機能を用いると考えた。ある人は、物の特徴を観察して捉え、またある人は、その印象を重視する。ある人は、感情に従って判断し、またある…

うっとりと語るということ

最近になってふいに、自分の詩に柔らかさを感じるようになってきた。 そうとは思わず書いているのに、自分の詩が柔らかくなってきてうれしい。 誰かに、理解される、かどうかは別問題だけど。 夏が終わっても空の青はなくならない透明な朝はなくならない飲み…

ディスコミュニケーションの徴

母語が異なる人間同士では、真のコミュニケーションは結局の所できない、というような言説があるが、それは本来の人間関係のディスコミュニケーションが強調されているだけだ。音楽や文学、あるいはカウンセリングの場を見れば、日常レベルで交わされるコミ…

美は、 雑然としたもののなかにはない、 表層的なもの、相対的なもの、 いらないものをすべて剥いで、 剥いで、 もしその中身が空ならば、 その空、ということが美しいのだ、

僕は、

精神薬を飲んだ患者の脳波が異常な形をしていて驚いた、というツイートをついこのあいだ見た。一種のプロパガンダのようでもあり、真相は不明だが、さもありなんと僕は思った。不安を感じて当然であるという状況にあって、薬によって安楽を感じていられると…

10時間たっぷり寝て、午前0時ごろ起き出した。 今取り組んでいる英語の勉強をしようと思ったが、今ひとつやる気が出ず。 ネットサーフィンをしたあと、シャワーを浴び、 そのあと、ふと、このブログを読み返していた。 このブログには2017年、201…

不完全な発話

発話が意図されたとき、 それは不完全なものとして彷徨う、 意味が決定されることを望み、 しかし決定されることがない 意図がぽっかりと浮かんでいる。 意味がないのに、意図があるなら 当然意図へ向かわなければならない 意図だけが発話の真実たりえるのだ…

願望とはなにか

原始仏教の論理は、それが正確に捉えられるのであれば、願望を否定する論理である。 同時に、その定義による限り、世俗の論理とは、願望の論理である。 願望とはなにか、その出自は文法的可能性にある。 人間が生きている世界とは、文法的に、烏は黒いという…

とどいている

とどくとはおもわず、手をのばす、 たしかに、わかっている、とどかないと、わかっている、 それでも、おくふかく、こころのなかに、とどく、と、いうおもいが、たしかに、ある、 とどく、というよりも、とどいた、にちかい とどいた、というよりもとどいて…

願望は人を引き付ける

祖母が死んだ。祖母とはほぼ関係がなかった。人が死ぬときには、誰が死んだときでも、いつでも同じ響きを、つまり、この'虚しさ'、"行為の虚しさ"を、響かせる!ニーチェの永劫回帰は、自分の行為が価値あるものであってほしいという願望の究極的な表現だと…

一年とピアノ曲

去年の三月に、一ノ瀬武志氏の「和声法入門」というウェブサイト(今も下記のリンクから、ソフトウェアという形で学ぶことができる)でピアノの作曲の勉強をした。「対位法入門」から最初に読み始め、二声から始めて、一か月くらいで一通り読み終えた。それ以…

中央集権という幻想

ぼーっと考えていたのは中央集権のことだった。 もし中央が完全に支配できるなら最高の構造だ。 でもその目は細部へ行き届かないから地方を頼ることになる。 中央集権というのはいわば派遣の政治なのだ。 小から大へズームアウトしていったとき、 どうして国…

葛藤というモード

父親が、しんどい、しんどいと口癖のように言うようになった。自分は精神の病気だから、しんどい、でもやらないといけないと分かっているから、葛藤している、と言っている。これはとても面白い茶番だと思う。 やるべき対象である行為、それそのものは「すべ…

心よりのどうでもよさ

しばらくの間、深い考え事をしていない。なんとなく、あれもこれも、どうでもよい、という気分になっている。そのあたりのことを、しかし書いておかなければいけないと思うので、音楽でも聴きながらぼんやり書いてみる。 二年前にこのブログで取り上げた、無…

マゾヒズム再考

気が付けば3月10日だ。春の匂いをかぐと、不思議に昔起こったいろいろなことを思い出す。ふと部屋を出て見ると、いつもとは違う場所で猫がくつろいでいた。暖かくなると、いろいろな場所でくつろぐようになる。冬には暖が取れる限られた場所でしかくつろ…

からっぽ

僕は日記をつけたいなあ、と長らく思いながら、ほとんどつけていない。そもそも金もないし、働いてもいないから、一日中家にいて、せいぜいYoutubeを見たり何かの勉強だの練習だのをしているだけだ。昔は考えることもよくあったから、内面的なことをひたすら…

精神医療における「焦らず、ゆっくり」とは何なのか

賢さとは予測ができるということ、愚かさとは予測ができないということ、人間は未来を完全に予測することはできないから、愚かさを免れることはできない。 * 父親が二年前から自分は鬱だと言い精神科に通い、仕事をやめ、いまだに鬱だと言い張っている。病…

単純化すること

人間が生得的な欲求を乗り越えることは不可能だと思っている。ただ、その代わりに、そこから派生して複雑化してほつれていく欲望の糸をできる限り単純化することができるはずだと思う。 難しいことはない、競争欲(嫉妬)をはじめとした、いくつかの代表的な…

miscellaneous thoughts

ベーシックインカムなどとのたまっている。 ふざけるな、実現不可能だ、と言いたくなる。 ルッキズム、だの、ヴィーガン、だの、男女平等だの、 最近の潮流は「多様性」だと捉えられているが、 本質は、それらの「一様性」である。 それらはみな、「競争の否…