tapanta

考えたこと、詩、などを書く。

2020年の息吹

 思ったより時間が過ぎるのは早い。 あれだけ遠いと思っていた死は待っているときっと近い。 老化していくだろうと感じられていた自意識は、自分の意識として保ち続けられているから、それは安心した。 ぼくは死ぬ間際になっても今のような自分でいられるだろうと幻想する。 友部正人が「にんじん」の中で「そのうちみんな昔懐かしいおじいさんになってしまうのかね」と歌っていた。 そんなふうに年をとっていると感じられる知り合いもたくさんいる。 発達段階から逸脱せず暮らしていくことができる人びとは僕とは縁遠い存在のように感じられる。 水曜日の夕方まで寝てわざわざ渋谷までDVDを返しに行っている。 片道一時間半かかるから本当にわざわざである。午後五時に電車に乗ると騒がしい学生たちが大勢いて普段会わない生き物に会っているという気がする。 人とゆっくり話がしたいと思う。 それも毎日のように。 そんな願望に応えてくれる人がいないから、僕はこうして孤独を託っている。 見ようと思っていた映画も展示もいつの間にか終わってしまっている。 起きようと思っていた時間に起きられない。 学生時代には人と関わることを避けていた。 今になって人と関わりたいと思う。 これはいかにも恥ずかしいことだ。 人と会う機会は多くない。 孤立者は孤立から抜け出すことができない。 時間は過ぎていく。