tapanta

考えたこと、詩、などを書く。

想像と現実

 日常生活は未決定によって彩られている。未来のことは、想像に頼るしかない。想像の可能性は「不安と期待」を同時に担っている。現実は、それが多かれ少なかれ、味気ないものであるという形で、想像を決定する。実際に手に入れるものが、いつでも想像を超えるものでないということは、意識されるに値する事実だ。同時に、想像の範疇はときに、というよりも殆どの場合、自分の自覚の範囲を超えたところへ広がっている。例えば自分のこだわり、好みはいつでも自覚されない想像に基づいている。想像の射程は、意識されることがないが、それが行きつくところはいつでも、この味気ない現実に他ならないのである。この重力は、想像の射程が長くなればなるほど、遠近法の摂理に従って、あいまいになる。だからこそ、多くの場合、想像はできる限りその射程を長く伸ばそうとするのである。そして、遠距離と言う曖昧さのなかに、自分が求める空想的現実、つまり理想を信じる。だから理想は、本来敢えて遠くに据えたものなのに、人は理想と現実の遠さについて、不満を言い続ける。