tapanta

考えたこと、詩、などを書く。

不完全な発話

発話が意図されたとき、

それは不完全なものとして彷徨う、

意味が決定されることを望み、

しかし決定されることがない

 

意図がぽっかりと浮かんでいる。

意味がないのに、意図があるなら

当然意図へ向かわなければならない

意図だけが発話の真実たりえるのだから

 

この世の中から発話の対手とみなされる

人間がいなくなったとき

意図された発話はいかようにして

その魔力を失うか

 

そこに現れるのは

慣例的な次元での会話が覆い隠していた

意図と意味の根源的なずれ、

ディスコミュニケーションの断崖だ

 

発話するものは意図として発話し、

しかし承認するものは意味として受け取る

発話の、意図の次元に正しさはないが、

意味の次元にはそれがある

 

意図は解されることがないのに

意味が解されることで幻想的にコミュニケーションが成り立つ

もし発話したものが意図に意識的であったなら、

発話が達成されることはない

 

逆に言えば、発話したものが意味に意識的ならば

それは承認を得ずとも達成されうる

法に向かって意味される言葉と

他者に向かって意図される言葉

 

法は内在化されてしまえば、

内的な強度をある程度持つために

他者を必要としなくなる

 

他者は内在化されえないため

意図を持つ限り

他者の必要性がなくなることはない